原因不明の慢性咳嗽の“原因”が明らかに?

提供元:ケアネット

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公開日:2025/11/04

 

 英国・マンチェスター大学のAlisa Gnaensky氏らが、原因不明の慢性咳嗽(unexplained chronic cough:UCC)と原因が明らかな慢性咳嗽(explained chronic cough:ECC)を区別するための臨床リスク因子として、後鼻漏の有無を特定した。Allergy and Asthma Proceedings誌2025年9月1日号掲載の報告。本研究者らは過去の研究において、喘息や慢性閉塞性肺疾患よりもUCCである可能性が高い患者像を報告していた。
*鎮咳薬の服用量が多い、医療機関の受診回数/頻度が多い、肺機能が正常またはほぼ正常な高齢女性

 本研究は、米国の7つの咳嗽センターで慢性咳嗽患者に配布された電子質問票を基に調査を行い、平均±標準誤差、連続変数の頻度(一元配置分析)、カテゴリ変数のクロス集計頻度(二元配置分析)を計算した。UCCとECCの単変量比較はt検定とノンパラメトリック一元配置分析を使用して行われた。

 主な結果は以下のとおり。

・登録全150例のうち、UCCは29例、ECCは121例であった。
・UCCとECCの鑑別について、家族歴、年齢、性別、人種、季節性による有意差は認められなかった。
・多重ロジスティック回帰分析の結果、後鼻漏の有無がUCCとECCの有意な鑑別因子であることが示された(オッズ比:4.8、95%信頼区間:1.6~15.3)。
・咳嗽の重症度は、UCC患者、慢性気管支炎および/または肺気腫の患者、高血圧症、喫煙歴、高BMI、女性、教育水準、および環境刺激物質(香水[p=0.006]、家庭用洗剤[p=0.01]、芳香剤[p=0.03]、冷気[p=0.007]、タバコの煙[p=0.05])の反応性が高い患者ではより重症であった。

 UCC患者はECC患者と比較して、特定の人口統計学的特徴、併存疾患を有し、環境刺激物質による重度の咳嗽を呈する頻度が高かった。これらの臨床的特徴は、UCCの診断を加速させるリスク因子を特定するのに役立つ可能性がある。

(ケアネット 土井 舞子)